住宅のまめ知識(コラム)
2024年08月26日
「省令準耐火構造」ってなに?メリット・デメリットと共に解説します
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「省令準耐火構造」ってなに?メリット・デメリットと共に解説します
「省令準耐火構造」。あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、これからお家を建てようと考えている方には知っておいてほしい言葉なんです。
今回はこの「省令準耐火構造」について、基礎知識が無い方でも分かるように、かみ砕いて解説していきたいと思います!
「省令準耐火構造」の概要
「省令準耐火構造(しょうれいじゅんたいかこうぞう)」とは、独立行政法人 住宅金融支援機構が独自に定めている住宅構造基準のひとつです。
独立行政法人 住宅記入支援機構とは、フラット35などの住宅ローンを提供している団体です。
詳しくは民間金融機関と提携のもとで提供しているのですが、今はざっくりと”住宅ローンに関するところだな”と認識していただければよろしいかと思います。
お家を建てようと思うと、現金一括で購入される方はほぼいらっしゃらないと思います。
住宅ローンを組んで建築される方がほとんどだと思いますが、この住宅ローンを受けるためには色々な審査や基準をクリアしなければいけません。
今回ご紹介する「省令準耐火構造」も、そのクリアしなければいけない基準のひとつです。
建築する建物がこの基準をクリアしていないと、希望する住宅ローンを受けることができないかも…と思っていただくと認識しやすいかもしれませんね。

なぜ「省令準耐火構造」が必要なのか?
「省令準耐火構造」とは、字を見ていただくとなんとなく想像がつくかと思いますが、火災に対する建物の強度のガイドラインを示しています。
”耐火(たいか)”とは、火災が発生した際に「建物自体が倒壊しにくくすること」「周囲の建物に燃え移らないこと」を表す言葉です。
ちなみに”防火(ぼうか)”は、もし周りで火災が発生した時にその影響を受けない…その建物自体の燃えにくさを表す言葉となります。
つまり、万が一その建物から火災が発生した場合でも、周囲への影響を最小限に食い止めるため・火災が広範囲に広がることを防ぐために「省令準耐火構造」の基準が必要となってくるのです。
「耐火構造」「準耐火構造」との違いについて
「省令準耐火構造」と似た言葉に「耐火構造」や「準耐火構造」というものがあります。
これらの基準があるのに、なぜあえて「省令準耐火構造」を用いる必要があるのでしょうか?
それは一般住宅として考えた場合に「耐火構造」「準耐火構造」の基準をクリアするには、かなりハードルが高く、家を建てることができない…というケースが考えられるためです。
「耐火構造」ならびに「準耐火構造」は、国土交通省が管轄している基準で、かなり綿密な基準が定められています。
例えば、火災が発生した際に「ある一定時間、倒壊しないこと」という基準が設けられていますが、これも建物の階数また柱や床、屋根や階段などによって耐火時間が定められており、その基準をクリアしなければいけません。
延焼を防ぐためには大事なガイドラインではありますが、その基準をクリアするためにはそれなりのコストも工程も必要となってきます。
その為「耐火構造」や「準耐火構造」ほどの耐火性は無いものの、防火構造や区条例の規定よりも耐火性が高い「省令準耐火構造」という基準が設けられたのです。
「省令準耐火構造」の特徴について
続いては「省令準耐火構造」の特徴についてご紹介します。
「省令準耐火構造」が耐火構造や準耐火構造と比べて条件が低く設定されているとは言え、細かい条件のもとに規定されているのは事実です。
その中でも主な条件として、下記があげられます。
● 外壁・軒裏の防火構造
● 屋根の不燃材料など
● 壁・天井の室内に面する部分が15分耐火
● 上記に定めるもののほか、住宅の各部分が防火上支障のない構造であること
それぞれの特徴については、主に下記3つに要約してご紹介します。
近隣の火災の延焼を受けづらい(外部からの延焼防止)
お隣で火災が発生して、その火が燃え移るということは十分に考えられることです。
火事でもっとも恐ろしいのは、このようにドンドンと火事が近隣の建物にも燃え移って、燃え広がっていくことです。
省令準耐火構造の建物は、この外部からのもらい火の影響が受けづらい構造になっています。
建物が外部からの延焼被害を受けやすいのは、屋根や外壁・軒裏とされています。このような隣家からの火が燃え移る可能性が高い箇所には、一定時間燃焼しないことが期待できる不燃材料が用いられています。
火災が発生しても外に出さない(各室防火)
火災が発生した場合、発生源である場所を完全に区切り火災を最小限に食い止めることも重要になってきます。
これを「防火区画化」と呼び、一定時間は部屋の外に火を出さないような構造になります。
さらに、部屋の内側である壁や天井には、火に強い石こうボードを使用します。そうすることで火が柱などに燃え移るまでに時間がかかるため、その間に避難や消化活動などが可能となります。
この各室防火も、火災が発生した際に延焼を防ぐための基準として設けられているのです。
火災が発生しても隣室に広がりづらい(他室への延焼遅延)
先にご紹介した「各室防火」に加え、隣室への広がりづらくするような構造も用いられています。
建物で火災が発生した際、火は壁の内側や天井裏などをつたって、燃え広がっていきます。
そうなると、もっとも最初に危ないのは火元の隣室です。
隣室とは壁1枚で繋がっているため、すぐに影響を受けそうですが、火の通り道である壁や天井内部にはファイヤーストップ材と呼ばれる、火の広がりを食い止める材料が使用されています。
そうすることで火が燃え広がる時間を遅らせ、避難するための時間を稼いでくれているのです。
「省令準耐火構造」のメリット
では続いて「省令準耐火構造」を導入した場合の具体的なメリットについて、ご紹介します。
メリット① 火災保険が安く抑えられる
具体的な大きなメリットとしてまずあげられるのが、住宅の火災保険料です。
住宅用火災保険の場合、建物の構造は主に下記3つに分けられます。
● マンション構造(M構造)
● 耐火構造(T構造)
● 非耐火構造(H構造)
火災保険料の金額のみを考えると、もっとも安いのはマンション構造(M構造)です。
一般的な住宅の場合、木造住宅が多いかと思います。その場合”耐火構造(T構造)”または”非耐火構造(H構造)”のどちらかに該当します。
一般的な木造住宅は可燃性が高く、火災などに関する耐久性にはリスクが高いと判断されます。
一方で、木造であっても省令準耐火構造の建物であれば、一定の耐火性能があるため火災によるリスクは小さくなると判断され、保険料が安くなる傾向があります。
メリット② 地震保険料が安く抑えられる
省令準耐火構造なので火災保険が影響することは十分考えられるかと思いますが、実は地震保険料に関しても安く抑えられる傾向にあるのです。
地震保険も建物の構造によって変動します。
さらに、この建物の構造は耐火建築物などの火災保険での構造区分に準じます。そのため、地震保険も火災保険同様、省令準耐火構造の建物は保険料を安く抑えることができる傾向にあります。
メリット③ 命・財産を守ることができる
省令準耐火構造を導入した場合にあげられるもっとも大きなメリットと言えるのが、「命・財産を守ることができる」ではないでしょうか。
万が一火災が発生しても、延焼を防ぐ・延焼するまでの時間を稼ぐことで、大事な命や財産を守ることができる可能性がグンと上がるのです。
住宅自体が大きな財産ではありますが、命があればこそ…です。
もっとも大切なものを守ることができるという点は、とても大きなメリットと言えるのではないでしょうか
「省令準耐火構造」のデメリット
大きなメリットがある「省令準耐火構造」導入ですが、だからと言ってデメリットが無い訳ではありません。
ここでは「省令準耐火構造」導入の上で考えられるデメリットについて、ご紹介します。
メリットとともに比較・検討していただければと思います。
デメリット① 建築費用が高くなる
大きなメリットがある「省令準耐火構造」導入ですが、だからと言ってデメリットが無い訳ではありません。
ここでは「省令準耐火構造」導入の上で考えられるデメリットについて、ご紹介します。
メリットとともに比較・検討していただければと思います。
デメリット② 間取りなどの設計の自由度が制限される可能性がある
住宅建築の楽しみのひとつでもある、間取りや素材選び。これらの制限が出てくることが考えられます。
「省令準耐火構造」の場合、延焼を防ぐために屋根や外壁、軒裏や天井といった箇所に不燃材料を用いた素材を使用する必要があります。
また耐火性を考慮した間取りや部屋の構造・配置・デザインを考慮しなければいけません。
そのため、ある一定の制約が生じることが考えられます。
また、建物自身だけでは無く、隣接する住居への延焼も考慮して防火帯を設ける必要性もでてくるかもしれません。その場合には、敷地の利用方法にも考慮が必要となり、自由度が下がることが懸念されます。
デメリット③ 維持管理費が高くなる可能性がある
一般的なお家も、築年数が建つことで一定のメンテナンスや点検は必要になってくると思います。
ですが「省令準耐火構造」の住宅の場合、防火性能を維持するための定期点検や、場合によって修繕や防火設備の更新などが必要となってくることが考えられます。
その分、一般的な住宅よりもプラスαとなる負担が生じるものと想定しておいた方が良いでしょう。
「省令準耐火構造」の建物であるかどうかの確認方法
最後に、その建物が「省令準耐火構造」対象であるかどうかの確認方法について、ご紹介します。
なぜここでご紹介するかというと、「省令準耐火構造」については建築確認申請書では確認することができず、注意が必要だからです。
当然ですが、パッと見の外観でも判断することはできません。仕様書(図面)やパンフレットなどで確認することとなります。
また、下記のような書類でも確認することができますので、頭の片隅にでも覚えていていただくとよろしいかと思います。
● 加入済みの火災保険の契約内容(保険証券・保険契約書など)
● 独立行政法人 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)特約火災保険証券・契約者カードなど
まとめ
「省令準耐火構造」について、ご紹介しました。
怖いものを順番に並べた「地震・雷・火事・おやじ」という、昔のことわざがあります。火事は怖いものの3番目に位置するほど、発生したら建物だけではなく、財産そして人の命まで全てを”無”にしてしまいま
その様な災害が発生しないことが一番大切なことではありますが、それでも万が一火災が発生してしまった場合にも、その尊い命や財産を守るための手段を講じるのは、とても大切な行動なのではないでしょうか。
火災に強い家は、安全で安心な日々の生活を守ってくるとも言えます。
今回の記事でご紹介した「省令準耐火構造」のメリットやデメリットも踏まえ、ぜひ内容を把握し、導入のご検討をいただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



