住宅のまめ知識(コラム)
2024年08月24日
安心の住まいを手に入れるために!「長期優良住宅」とは?制度内容やメリットを紹介
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安心の住まいを手に入れるために!「長期優良住宅」とは?制度内容やメリットを紹介
住宅広告や宣伝などで「長期優良住宅」という文字を目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
文字のイメージから優良物件であることはなんとなく想像できるかと思いますが、その内容については詳しく分からないという方が多いかと思います。
今回は、この長期優良住宅という制度について、概要ならびにメリット・デメリットについてご紹介します。
長期優良住宅の概要とは?
まずは長期優良住宅とはどの様なものであるか、ご紹介します。
一言でご案内すると「長く安心で快適に暮らせると認定された家」のことを指します。
この「長く安心で快適に暮らせると認定された家」には、定められた一定の基準をクリアしなければいけないという条件があります。その条件は”長期優良住宅の普及の促進に関する法律”に基づいて設けられたものなのです。
長期優良住宅の始まり
平成21年6月4日に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されました。
この法律が施行されたのは、海外と比べて日本の住宅価値が低いことが要因とされています。
<国別 住宅の平均寿命>
①アメリカ 44年
②イギリス 75年
③日本 26年
④日本※1 32.2年
【平成8年国土交通省建設白書の中の資産データより抜粋(※1のみ平成12年のもの)】
上記の比較を見ても分かるように、日本の住宅は欧米に比べて短いことが分かります。
一方で住宅ローンは30年・35年と長期に渡るローンが一般的です。
家計の占める割合が多い住宅ローンである一方で、ローンを払い終えた頃に住宅の価値がほぼ無くなってしまい、住宅への投資が資本として蓄積されないという点が問題視されていました。
この問題点を回避すべく、”良いものを作り、きちんと手入れをし、長く大切に使う”という住宅の長寿命化を推進するために設けられたのが「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」なのです。
長期優良住宅の基準とは?
長期優良住宅の認定を受けるためには「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて設けられた、一定の基準をクリアしなければいけないとご紹介しました。
こちらの基準に関して、ご紹介します。

<長期優良住宅の認定を受けるための基準>
● 耐震性
● 省エネルギー性
● 居住環境
● 維持保全計画
● 維持管理・更新の容易性
● 劣化対策
● 住戸面積
では、それぞれの基準に関して詳しくご紹介します。
耐震性
「耐震性」とは、地震にどれだけ耐えられるかを基準値としたものですが、耐震等級1の場合は震度6強から7であれば倒壊しないとされていて、現在の建築基準法ではもっとも最低ラインの耐震等級です。
長期優良住宅の耐震性能として求められるのは、壁量基準が耐震等級2または3であることとされています。
「壁量」とは、建物の耐震壁や構造耐力のことを指します。この基準値が耐震等級2または3以上であることが長期優良住宅の基準値であるということになります。
耐震等級2は耐震等級1と比べて1.25倍、耐震等級3は1.5倍の耐震性能を有していることと位置付けられています。
省エネルギー性
省エネルギー対策等級4以上をクリアしていることが長期優良住宅の基準となります。
「省エネルギー対策」とは、断熱性に優れなおかつ省エネ宅策が実施されている事を示し、断熱性能や省エネ性能を段階によって評価したものになります。数値が高いほど、省エネルギー対策の基準値が高いことを表しています。
長期優良住宅で記している「省エネルギー対策等級4」とは、等級1(無断熱・省エネ対策無し)と比較して、壁や天井以外の開口部などにも断熱対策を用い約60%の省エネが実現されている状態を指します。
等級5になると、ZEH(ゼロエネルギーハウス)の水準を満たしていることを指します。
居住環境
建物が建築される地域の居住環境の維持および向上に配慮したもの…とされています。
例えば景観にあわせるといった、配慮が必要となります。
この「居住環境」を測る基準に関しては、市町村によって異なります。詳しくは建物を建築する市町村の条例をご確認いただくこととなります。
維持保全計画
「維持保全計画」と聞くとなんかとても難しそうですが、簡潔に言えば”定期的な点検・補修”を示します。
建築時に作成した「維持保全計画書」の内容に基づき、定期的な点検・修繕・改良を行い、優良住宅として保つことができるように計画性をもって進めていかなければいけません。
維持管理・更新の容易性
長期優良住宅というだけに建物がメインとして考えられますが、長期優良住宅の基準内容は建物ばかりではありません。
たとえ建物が100年ほど継続使用出来たとしても、配管などの設備部分に関してまで同等であるとは言えません。
これらの設備部分に関しても、定期的な点検または補修がしやすいことも、長期優良住宅の基準に定められています。
劣化対策
住宅の性能表示基準のひとつに「劣化対策等級」というものがあります。劣化対策等級は3段階であり、その内容は以下の通りです。
【等級1】建築基準法で定める対策が施されている
【等級2】50〜60年程度の大規模な改修工事が不要とされる劣化対策が施されている
【等級3】75〜90年程度の大規模な改修工事が不要とされる劣化対策が施されている
長期優良住宅はこの劣化対策等級3であることに加え、木造建築の場合には床下空間の高さの確保や点検口の設置などのプラスαの処置を設け、100年継続利用を前提とした対策が施されていることが求められています。
住戸面積
快適な居住空間として、基準以上の広さを有していることを長期優良住宅の基準としても設けています。
一戸建て住宅の場合には75㎡以上、マンションなどの共同住宅の場合には55㎡以上の面積を要し、なおかつ少なくとも1階の床面積が40㎡以上であることが定められています。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅を申請すると大きなメリットがありますが、それとともにデメリットもあるものです。まずはメリットについてご紹介します。
長期優良住宅のメリット① 低金利の住宅ローン優遇
住居建築の際に、多くの方が住宅ローンを利用するかと思いますが、このローンが優遇される点が長期優良住宅の大きなメリットと言えるでしょう。
住宅ローンの「フラット35」を利用した場合、借入金利から一定期間金利引き下げとなったり、「フラット35S」適用となればさらに金利が下がることがあります。
長期優良住宅のメリット② 地震保険料の割引
住宅保険においても割引制度が用いられるという、大きなメリットがあります。
長期優良住宅で基準とされている耐震性から、保険に対しても優遇措置が受けられるのです。詳しくは保険内容ならびに耐震等級によってことなりますが、約20〜30%程度の割引率となるでしょう。
長期優良住宅のメリット③ 所得税での優遇
所得税の減税項目に住宅ローン控除がありますが、こちらが最大で13年間・年末時点での住宅ローン残高0.7%の控除を受けることができます。
住宅ローン控除が受けられる上限金額も、一般住宅の場合3000万円なのに対し、長期優良住宅は上限5000万円となっており、こちらの点についても優遇されています。
長期優良住宅のメリット④ 投資型減税を受けられる
もし住宅ローンを利用しなかった場合でも、税金面で優遇される部分があります。それが投資型減税です。
長期優良住宅の基準を満たすために掛かった費用「掛かり増し費用」の10%を所得税から控除することができます。
最大控除額65万円・適用は1回のみとなりますが、減税対象となるのは大変嬉しいメリットです。
長期優良住宅のメリット⑤ 不動産所得税の減税
不動産所得税は一般住宅でも受けることができますが、長期優良住宅の場合には一般住宅よりも優遇されます。
一般住宅の控除額1200万円に対して、長期優良住宅の場合には1300万円までになります。ただし、適用期間は2026年3月31日までとなりますので、注意が必要です。
長期優良住宅のメリット⑥ 登記免許税の税率の優遇
不動産を所有した場合に登記を行いますが、この登記に関する税率が長期優良住宅は若干引き下げられます。
一般住宅の場合には保存登記0.15%・移転登記0.3%なのに対し、長期優良住宅の場合には保存登記0.1%・移転登記0.2%となっていてそれぞれに減税措置となっています。
なお、こちらも不動産所得税と同様に2026年3月31日までの取得が必要となりますので、ご注意ください。
長期優良住宅のメリット⑦ 固定資産税の減税期間延長
新築物件の場合、固定資産税が2分の1に減税されます。
この期間が一般住宅の場合には3年間(戸建ての場合)なのですが、長期優良住宅の場合には5年間と延長されています。(※マンションの場合には一般住宅5年間・長期優良住宅7年間です。)
こちらの延長期間も適用は2026年3月31日までとなっていますので、期間については余裕を持って申請してください。
長期優良住宅のメリット⑧ 地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられる
こちらの補助金を受ける場合には、国土交通省の採択を受けた工務店で木造住宅を建築することという条件がありますが、もし地元の工務店での建築をお考えの方にはぜひチェックしていただきたい補助金です。
最大150万円の補助金を受け取れる可能性がありますので、詳しくは工務店を通じて採択グループの事務局にご確認ください。
長期優良住宅のデメリットとは?
上記でご案内したように多くのメリットがある長期優良住宅ですが、一方でデメリットもきちんと認識しておきたいものです。
長期優良住宅のデメリット① コストアップ
長期優良住宅の条件を満たすためには、先にご案内した耐震性や快適性などを追求していかなければいけません。その分、コストアップとなる可能性が考えられます。
コストの高い良い材料を使うという以外に、工期が長引くことによる人件費などもプラスさえることも念頭においておきましょう。
長期優良住宅のデメリット② 着工に時間が掛かる可能性がある
長期優良住宅は一般住宅と比べて、1週間から1ヶ月程度、余分な工期期間が掛かる場合があります。
一般の住宅と異なり、所管行政庁の認定を受けてから着工しなければいけないため、その分の日数が要するのです。
なるべくスムーズに着工まで進めることができるよう、申請書類作成などで手間取らないようにしたいものです。
長期優良住宅のデメリット③ 申請費用
長期優良住宅として申請するための費用が必要となります。所管行政庁に提出する際の費用は約5〜6万円と言われていますが、実際には依頼したハウスメーカーや工務店を通じて申請するため、その手数料なども含めると20〜30万円程度が必要になると言われています。
こちらの申請費用について、気になる場合に事前に確認しておくと良いでしょう。
長期優良住宅のデメリット④ 定期点検が必須となる
一般住宅でも定期点検は必要ではありますが、必須ではなく、またその時の状況によって点検箇所なども融通を効かせることができます。
長期優良住宅の場合には建築時に提出した「維持保全計画」に沿って、定期点検を実施しなければいけません。
この維持保全を計画通りに進めることができなかった場合には、長期優良住宅としての認定取り消しという措置も懸念されます。しっかりとした計画に沿った定期点検が欠かせないのです。
まとめ
長期優良住宅の概要ならびにメリット・デメリットについて、ご紹介しました。
海外の建物は年数を追うごとに価値が上がると耳にしたことがありますが、確かに日本の渋滞の建物にそのような概念はありません。年数が経つごとに価値が下がり、その建物のもっとも価値が高い時が新築時です。
そのような日本の建物に対する固定概念を、この長期優良住宅で打破していくことができれば、土地面積が限られている島国・日本でもステキな住環境を生み出して行くことができるのではないでしょうか。
50年・100年といった将来の日本の不動産が少し楽しみになる取り組みなのではないかと感じています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



