
住宅のまめ知識(コラム)
2024年10月29日
収納扉って必要?アリかナシか…それぞれのメリット・デメリットとは?!
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お家の中の空間を区切る建具として用いられる「扉」。なんとなくあって当然と思われがちですが、その扉を無くしても良いスペースも存在します。それが収納スペースの扉です。
扉の無い収納スペースは、上手に活用すれば、まるでオシャレなショップのようなテイストで利用することができます。
とは言え、実際の生活の場で収納スペースの扉はアリなのか?ナシなのか?!
収納扉のアリナシを、それぞれのメリット・デメリットとともに考えていきたいと思います。
収納スペースの種類について
実は様々な種類がある収納スペース。まずはその収納スペースについて、知っていきましょう。
収納スペース(1) クローゼット

洋室タイプのお部屋で一般的に使われている収納がクローゼットです。ハンガーパイプが取り付けられていて、ハンガーを用いて洋服をそのハンガーパイプに吊り下げて収納します。
奥行きは50〜60cmほどが一般的で、布団などの寝具や家財などの収納にはあまり適していません。
扉がある場合、折れ戸タイプのものを用いている場合が多いです。
収納スペース(2) 押し入れ

和室タイプの一般的な収納スペースは押し入れになります。
中は上下で2段に分かれていて、さらに上には天袋(てんぶくろ)と呼ばれる小さめの収納スペースがあります。
寝具や衣類、家財道具など様々なものを一括で収納することができ、正面は引き戸状の「襖(ふすま)」という扉が設けられています。
収納スペース(3) ウォークインクローゼット

クローゼットと同様、洋室タイプのお部屋の収納スペースとして活用される場所ですが、クローゼットとの大きな違いはその大きさです。
歩いて出入りできる(walk-inn)クローゼットのため、衣類の収納以外にも家具などを収納することもでき、ちょっとした小部屋として活用する方もいらっしゃいます。
一般的には寝室横に設けられている場合が多く、着替えなどの身支度一式をここのスペースで行うことができます。
収納スペース(4) ウォークインスルークローゼット

先にご紹介したウォークインクローゼットのように大きなスペースをもつクローゼットですが、ウォークインスルークローゼットは出入口が2か所あるのが特徴です。
出入口が2か所あることから、歩いて出入り(walk-inn)し、そのまま通り抜け(through)することができるクローゼットという意味になります。
欧米式の住宅の場合、洗面所や浴室・キッチンと繋がっている場合が多く、家事室として用いられることも多い収納スペースです。
収納スペース(5) シューズクローゼット

シューズクローゼットまたはシューズクロークと呼ばれる収納スペースで、靴を履いたまま出入りすることができるクローゼットです。一般的には玄関横に設置されることが多く、主に靴を収納する下駄箱としての役割を担いますが、靴以外にも園芸道具や子供の砂場道具など、外で使用するものの保管場所としても活用されています。
冬場はコートなどの外出着の保管場所としても利用されます。
収納扉アリのメリット・デメリットについて

まずは様々な収納スペースについて、ご紹介しました。それぞれに役割や設置場所などが異なりますので、扉があった方が良いか、無い方が良いか。それは各収納スペースの特徴とお家の人の活用法にも大きく関わってくることと思います。
ここでご紹介する収納扉のメリット・デメリットを把握し、ご自身のライフスペースにあうのはどちらなのか、ご検討ください。
収納扉アリのメリット(1) 衣類にホコリやゴミがつきにくい
収納扉が有るもっとも大きなメリットのひとつに、収納した物にゴミや汚れがつきにくいという点があります。またホコリだけでは無く、日焼けからも衣類を守ることができるというメリットもあります。
長い期間でも清潔さを維持することができ、品質劣化を極力避けることができるのです。
収納扉アリのメリット(2) スッキリとした見た目
急な来客が来たら、とりあえず荷物をクローゼットに押し込んで…なんて様子をマンガなどで描かれることがありますが、そんな時に利用する収納は扉があることが前提です。
扉を閉じてしまえば、収納した物を隠すことができ、スッキリとした見た目になります。
視覚的清潔感や整頓感を保つことができます。
収納扉アリのメリット(3) プライバシーへの配慮
収納しているものは、プライベートなアイテムを保管していることが多いため、個人的なものが他人の目に止まるのは抵抗がある方も多いのではないでしょうか。
収納に扉があることで、不用意に個人の物が他人の目に晒される心配が無く、プライバシーを守ることができます。
収納扉アリのデメリット(1) ある程度のスペースが必要
扉の開け閉めをすることを考えなければいけないので、ある程度のスペースを確保しなければいけません。
そのスペースを想定した家具の配置を考えなければいけないので、置ける家具や配置に制限が出てくることが考えられます。
間取り図だけでは把握することが難しい、余裕あるスペースの確保を考えなければいけません。
収納扉アリのデメリット(2) 収納物を可視化できない
きちんと整理整頓してでは無く、ついつい押し込むような形で収納してしまう…なんてことは、収納スペースに扉があるタイプはありがちな状況です。
必要なものを探すのに時間が掛かったり、収納物が可視化できない状況になってしまうことは、扉があるデメリットと言えるでしょう。
収納扉アリのデメリット(3) メンテナンスや定期的な清掃が必要
収納扉の開閉をしていたら、閉まりにくくなったり開き辛くなったり…。正しい操作で扱わないと破損することも考えられるため、メンテナンスが必要になってきます。
破損による修復や補修などのメンテナンスだけでは無く、レール式であれば、レールにホコリやゴミが貯まらないように定期的な清掃が必要になります。
収納扉アリのデメリット(4) デザイン性が低くなる
ショップのオシャレなディスプレイを参考にしてインテリアをイメージした場合、収納スペースも扉が無いオープンな「見せる収納」として想定することがあると思います。
このような場合、収納扉は無くオープンな状態にしてインテリア性の高い収納スペースとして活用するパターンが多いでしょう。
収納扉がある場合、このような「見せる収納」としての活用は難しいと言わざるおえません。
収納扉ナシのメリット・デメリットについて

続いては収納扉が無い場合のメリット・デメリットについて、ご紹介します。
扉アリの場合のメリット・デメリットと比較検討し、お家作りの参考にしてください。
収納扉ナシのメリット(1) 収納物の出し入れが楽
扉が無いということは、中に入っている物の出し入れをダイレクトに行うことができます。両手に荷物を抱えている状態でもスムーズに収納することができ、楽に行うことができます。
収納扉ナシのメリット(2) 通気性が良い
衣類をワンシーズン同じ所に保管していると、衣類にカビがついてしまったり、湿気でジメジメした状態になってしまうことがあると思います。
収納スペースに扉が無いからと言って、そのような状態が完璧に防げるわけではありませんが、通気を良くしておくことは収納している衣類の劣化をある程度抑える効果が期待できると言えるでしょう。
収納扉ナシのメリット(3) 施工費用の節約
扉を付けないことで、その分の施工費用を節約することができます。扉1枚の費用は数千円程度で、住宅全体の建築費用から考えると大した金額ではないと思われるかもしれませんが、1〜2枚という少数では無く、家中全体で考えるとけっして安い金額ではありません。
節約した分の費用を他に回してみるのも、とても魅力的ですよね。
収納扉ナシのメリット(4) ケガの危険性を少なくできる
小さいお子さんがいるご家庭であれば、誤って扉に指をはさんでしまったり、扉を開けた時に足の指を扉の角に引っ掛けてしまったり…そんなケガも想像することができると思います。扉が無ければ、その様なリスクを軽減することができます。
収納扉ナシのデメリット(1) ホコリが溜まりやすくなる
扉が無い分、収納物にダイレクトにホコリが侵入してしまうため、溜まりやすくなってしまいます。収納スペース内に掃除機をかけたり、こまめな清掃が必要となるでしょう。
また、収納のための棚や季節家電などを置いている場合には、掃除機をかける際にはそれらを移動させて掃除する手間が必要になります。
収納扉ナシのデメリット(2) 冷暖房の効率が悪くなる
収納スペースまで冷暖房を行き届かせる必要はありませんが、扉が無い分冷気や暖気が流れ込んでしまいます。その分、冷暖房の効率が悪くなってしまうという懸念事項が生じてしまいます。
収納扉ナシのデメリット(3) 防虫剤や除湿剤の効果が効きにくい
クローゼットに防虫剤や除湿剤を設置する方は多いかと思いますが、扉が無いことでこれらの効果が出にくい状況になってしまいます。
畳んで収納できる衣類であれば、衣装ケースにしまい、そこに防虫剤などを入れることで
効果を得られることができるでしょう。
収納扉ナシのデメリット(4) 物を隠せない
収納扉が無い最大のデメリットは、収納した物を隠すことができないという点です。
普段から着ている衣類や、プライベートを感じる物が多く置かれている収納スペースが来客の目に止まるのは多少なりとも嫌悪感を感じることでしょう。
収納スペースの中まで常にキチンと整理整頓している人であれば、このような悩みは持たないのかもしれませんね。
収納扉ナシで後悔しないために…
最近の住宅欧米化とオシャレな空間作りのために、収納扉ナシの状態で建築された方も、「扉があれば良かったのに…」と後悔する場面もあることでしょう。
その様な場合、下記方法をご検討いただいてはいかがでしょうか。
● ロールカーテンなどを扉代わりに活用する
● 建築前に施工例をたくさん見て、具体的にイメージする
● 実際に収納扉が無いお宅に住んでいらっしゃる友人・知人がいたら、具体的な話を聞いてみる
一時的に収納スペースを隠したいのであれば、カーテンを設置する方法があります。
ロールカーテンであれば、洋風のお部屋であればオシャレなインテリアアイテムとして活用いただけるのではないでしょうか。
ご自身のビジョンを具体的にするのは、後々後悔するポイントを減らすことができる効果的な方法です。そのためには、実際の施行例を数多く見たり、実際に利用している方の意見をひとつでも数多く聞いて、参考にすることをオススメします。
まとめ

収納扉アリ・ナシについて、それぞれのメリット・デメリットをご紹介しました。
新しくお家を建てるということは、ご自身またはご自身とご家族の思いを具体的に現実化する作業です。
そのため、理想だけではなかなかうまくはいきません。それはクローゼットの扉ひとつとってもそうなのです。
ご自身のライフペースを考えながら、収納扉の有無をご検討いただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。